つまみぐい

つい、手がのびた。

不運を嘆くより感謝するべきだった

恐らく前置胎盤疑いの妊婦になって5日が経った。

19w5dの健診(前回)
胎盤が下のほうにあるから、内子宮口にかぶっている。
でもこれから子宮が大きくなるにつれ位置も上がっていくことが多いから様子見。」

23w5dの健診(今回)
「エコーでは少し上に上がってきたように見えたけど、経膣プロープではまだ接してしまってる。」

いずれも「前置胎盤」という単語もなく、安静指示もなく、
出血に気をつけて無理をしないように、とのことだった。
ただ先生の口ぶりと、自分自身コウノドリを読んでいる中で「胎盤が下の方にある状態は良くない」というレベルの知識はあったので、帰ってから検索してみる。
(妊娠してからすっかり検索魔)

出るわ出るわ、恐ろしい体験談……。

自覚症状はほとんどない。
妊娠後期(8ヶ月、28w)に入ると出産に向けて子宮収縮しやすくなる(=お腹が張りやすくなる)上、子宮口が柔らかく開きやすくなってくるため、前置胎盤の場合は子宮口とそれに接した胎盤の間にズレが出やすく出血しやすくなる。
はじめは「警告出血」と呼ばれる小量の出血で済むこともあるが、やがて1~2リットルの大量出血を起こす。

ただ、前置胎盤の正式な診断は9ヶ月に入る頃、31w頃までにされる。
(妊娠初期は多くが前置胎盤状態であり、妊娠中期に子宮がどんどん大きくなるにつれて胎盤の位置も上がっていくケースが多い)
子宮口へのかかり具合によって、全前置胎盤部分前置胎盤、辺縁前置胎盤に分かれ、後者になるにつれ諸リスクは軽くなる。

診断後、里帰り希望の場合は地元で施設の整っている&病院を探して、なるべく早く管理入院しシャワーやトイレ以外はほぼ寝たきりの安静状態。
多くは帝王切開での出産になる。
子宮口付近は胎盤癒着を起こしやすいので出産時胎盤が上手く剥がれなければ子宮全摘出になることもある。

9ヶ月でも胎盤の位置があがってくれば自然分娩が可能な場合もあるが、どちらにしても大量出血になることが多い。
そのため輸血が必要になるが、感染リスクを減らすため自己血を貯めておく場合が多い。
出血多量で母体の命に関わる場合もある。


ざっと分かっただけでもこれだけの情報が飛び込んできて、正直かなり動揺した。
不安だ、怖い、でも出来ることが何もない。

無理しない、って何?
重いもの持たないとか激しい運動しないとか、普通の妊婦生活で気をつけることをちょっと慎重に考えるくらいでいいの?
仕事はどうしよう?
GWの帰省は?

何が一番って、何もしないことだ。
仕事を休んで、長距離移動もしないで、家で横になっていることだ。

でも現実的には難しい。
やらざるを得ない状況ならまだしも、私はまだ「疑い」とすら診断はされていない。
その状態で「かもしれない」を探して怯えながら閉じこもっていることの方が、きっとこの子には良くない。
8ヶ月からが正念場なのであれば、尚更今、色々とやっておかなくちゃいけない。
義両親に会い、なかなか会えない友達に会い、たくさんこの子を愛して欲しい。
私も、何が何でも自分とこの子を守るための勇気というか、しがみつく気力が欲しい。

リスクと実現度合いのバランスを見ながら判断していくしかない。
頭ではそう答えが出ているのに、気付けばネットで検索してはしかめ面している。

こういう時に、一人暮らしは嫌だ。
前置胎盤、帝王切開、全妊娠での確率は高くないのに。
それでも自分の身に起こればそれが全てだ。

生産性のないことだなぁと思いながら、不運を嘆いた。

でも、昨日また検索魔化していてもう一つ分かったことがあった。
胎盤の位置=受精卵の着床位置」。
通常着床する位置の子宮壁に傷があったり着床しづらかったりすると、何とか「着床できる場所」に着床するんだと。
前置胎盤の場合は、それが子宮口付近だったんだと。

何だか一気に、いじらしく感じられた。
そうか、私のお腹にしがみつこうとしたら、そこしかなかったか。
それでも、うちを選んでくれたのか。

名古屋に着いた。
近いなぁ。
昨日飲んだevianのせいかお腹の調子良くないけど、お子は元気に動いている。
もうすぐ主人の実家。
たくさんの愛をもらおうね、とお腹を撫でる。